SUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」JMS LMcorsa 488 GT3 9位

AUTOBACS SUPER GTシリーズ第4戦「SUGO GT 300km RACE」が、夏休み最初の週末にスポーツランドで第3戦が行われるはずだったが、熊本地震で施設にも影響が及び、代替レースは最終戦ツインリンクもてぎと併せて開催されることに。そのため、2か月ぶりのレースとなった。


都筑晶裕と新田守男を擁し、フェラーリ488 GT3でGT300に挑むLMcorsaは、もちろんその間に黙って手をこまねいていたわけではなく、ここSUGO、そして鈴鹿サーキットで行われた公式テストに参加。さまざまなメニューをこなし、ドライバー、マシンともどもレベルアップがはかられた上で、この一戦に挑んでいるのは言うまでもない。


ここまでの2戦では、5位、6位と確実に「JMS LMcorsa 488 GT3」は着実に結果を残し、ライバルにも一目置かれる存在になりつつある。特に今回の舞台であるSUGOはアップダウンに富んだテクニカルレイアウトで知られ、FIA-GT3としてコーナーリングマシンとの評価の高い、フェラーリ488 GT3には相性も良さそう。大いに順位の上昇に期待がかかった。



いつもどおり最初の走行は、土曜日午後の公式練習から。最初にステアリングを握った新田が確認を行ったのは、システムチェックだった。鈴鹿の公式テストからエンジンなどを制御するコンピュータのプログラムをアップデートしたのだが、不具合が発生。ミケロットから派遣のエンジニアによって修正されたが、正常に機能しているか確認するためだ。幸い、大きな問題は生じていなかったことから、本格的に走行が開始されることとなった。


途中、1コーナーでのスピンはあったが、ダメージなく自力で復帰。何度もピットインを繰り返し、そのたびセットアップが進んでいく。そして、新田にとって締めとなる1分19秒583をマークした後、ピットに戻って、ほぼ1時間経過時から都筑の走行が開始される。最初は主にロングをかけて習熟を行い、ラスト10分間のGT300単独セッションに都筑のスピードが試されることとなっていた。しかし、そのタイミングを間もなくという頃、SPコーナーインでクラッシュ車両があり、赤旗が出されてしまう。


これで終了の可能性もあったが、幸いにして7分の中断のみで計測は再開。しっかりウォームアップを行った後、都筑は1分19秒694と、新田とまるで遜色のないタイムをマークするまでとなった。




■予選結果 10th(1'19"434)


予選のQ1には前回同様、新田が挑んだ。計測は15分間に渡って行われるため、路面状態の安定を待ってからコースインすることも、他のサーキットならば作戦として採られるが、公式練習がそうであったようにSUGOでは赤旗が出やすい。そうなって、アタックの機会を失っては元も子もないため、ほぼ全車が計測開始と同時にピットを離れていった。公式テストの時より、やや温度が低めだったこともあり、入念にタイヤのウォームアップを新田は行う。そして、1分18秒903をマークする。まだまだタイプアップの手応えはあったというが、その後クリアラップがなかなか取れず、また十分Q1突破が可能ということで終了を待たず、ピットに戻ることに。8番手につけ、「JMS LMcorsa 488 GT3」のステアリングを、Q2に挑む都筑に託すことに成功した。


新田からのインフォメーションを受けた都筑は、同じように3周をウォームアップに充てて、そこからアタックを開始する。まずは1分19秒701を記録し、次の周には19秒434にまでタイムアップ。残念ながら、ラストアタックの短縮は果たせなかったものの、10番手につけることに成功。「JMS LMcorsa 488 GT3」は5列目グリッドから決勝レースに挑むこととなった。

■決勝結果 9th(70 laps)


決勝当日朝の路面は、またしてもウェット。未明の雨によって濡らされたばかりか、フリー走行が始まる頃には霧雨にも見舞われてしまう。都筑からの走行となり、まずはドライタイヤを装着したが、路面は回復の兆しを見せなかったばかりか、本格的な雨に転じたため、すぐにウェットタイヤに履き替えられた。都筑は9周を走行し、1分31秒790をマーク。ラストの1周を新田が走行したところで、チェッカーフラッグが振り下ろされた。


今回のスタート担当は都筑で、開幕戦に続いて今季2回目。いったんやんだ雨がスタート進行の頃にまたばらつくも、路面状態は逆に回復の兆しも。そこでドライタイヤを装着し、「JMS LMcorsa 488 GT3」をスターティンググリッドに並べることとなった。今回は宮城県警の白バイ、パトカーによるパレードランがフォーメイションラップの前に行われ、2列に並んだ28台のマシンはグリーンシグナルの点灯と同時に加速していく。まず都筑はポジションキープに成功する。心配された序盤の混乱もなく、10番手のまま後続とも程よい間隔を保って周回を重ねていく。



しかし、24周目に最終コーナーでクラッシュした車両があり、次の周からセーフティカーがコースイン。29周目からバトルは再開し、同時にピットロードもオープンとなる。すでに規定周回の1/3を超えていたこともあり、すかさず続きをピットに呼び寄せることに。給油だけを行い、タイヤ無交換で新田をコースに送り出す。これでいったんは17番手に後退するも、その後ドライバー交代を行うチームが現れるたび順位を上げて、全車が済ませた時に「JMS LMcorsa 488 GT3」は9番手を走行することとなる。ただ、本来ならば、もっと順位を上げられたはず。というのも新田はバックマーカーに行く手を阻まれ続け、前を行く車両との差を詰める機会を逸していたためだ。

そればかりか、背後にはBMW M6が終始つけており、二重の苦しい走行を続けていた新田ながら、隙を与えることなく淡々と周回を重ねていく。そんな中、71周目の最終コーナーで8番手を走行する車両がクラッシュし、ひとつ順位を上げた格好ながら、即座に赤旗が提示されてしまう。まだ6周を残していたものの、規定周回はすでに満たされていたこともあり、ここでレースは終了に。「JMS LMcorsa 488 GT3」は第4戦を10位で終えることとなった。


次回のレースは2週間後、8月6〜7日に富士スピードウェイで開催される。ここまで3戦、しっかりと連続入賞を果たしてきただけに、そろそろ大きな結果が望まれるところである。

■チーム監督 小林 敬一


鈴鹿のテストで発生した制御系のトラブルも解消していましたし、予選まではまずまず順調だったので、決勝にもかなり期待していました。でも、その決勝に運がかけていましたね。途中でSCが入って、ドライバー交代のタイミングは悪くなかったと思いますし、ピット作業など特に問題はなかったんですが、その後トラフィックに引っかかっちゃって……。それも同一周回のクルマでない、我々と勝負していないクルマに何度も何度も抑えられて獲れていたはずの順位を獲れずに終わってしまいました。ペース的には4位ぐらいの車両とも、そう変わらなかったので、スムーズに周回できていれば、その近くあたりまで行けていたはずなので、今回は本当についていなかったですね。


■ドライバ― 都築 晶裕


今回の菅生は先月のテストにてデーターが取れていただけに、さらに詰めたセットに合わせて更なるタイムアップと、チャンピオンシップにとってターニングポイントになる重要なレースとなることは間違いないので、気合を入れてサーキット入りしました。
予選では自分のセットを若干変更してもらいアタック開始、クリアラップをうまく獲れたものの自分的にはもう少しタイムアップが出来たという感じがあったので、今回の予選は悔いが残るものとなりました。レースは自分がスタートドライバーを担当したわけですが、タイヤ無交換という選択肢を想定してタイヤをいたわりながら、安定したラップタイムを刻めたのは良かったのですが、終わってみれば、まわりも無交換や、2本交換んで思ったよりも前に行けなかったので、悔しい結果になりました。次の富士では、表彰台を目指して頑張ります。


■ドライバー 新田 守男


非常に疲れるレースでした。みんな普通にタイヤ交換してくるだろうな、と思っていたんですが、案外そうでもないチームも多くて……。タイヤを交換してたら、どうなっていたでしょうね。それより僕らにはちょっと無線でのやり取りのミスもあったから、それでかなり前のクルマに離されちゃったので、そのロスも痛かったですね。BMWの7号車とはかなり長い間、バトルをしていて苦しかった〜。これだけは抜かれちゃいけないと、もう必死でした。


■エンジニア 成澤 健二


テストで生じていたプログラムの、システムのバグみたいなのは解消してはいたんですが、まだまだ完全な状態ではなかったような感じもありました。良くはなっているんですが、ちょっとまだつかみ切れないというか……。絶えず勉強されてくれるクルマです(苦笑)。タイヤ無交換作戦は、ドライバーがしっかりいたわりながら走ってくれたので、たぶん成功だと思うんですが、SCのタイミングとか運があまりに悪かった。周回遅れに詰まってロスしたのもあったので、それがなければ、もっと前を追いかけるようなレースができあんじゃないかと思います。