2017 SUPER GT INGING MOTORSPORT 第4戦 菅生 レースレポート

◆ 7月23日 (日) <決 勝> 天候:雨 | コース状況:ウェット


#50 Ferrari 488 GT3 2位

4月のシリーズ開幕から初のレインコンディションで行われたSUGO ラウンド決勝は、3度のセーフティーカーランによる波瀾の展開が2台の明暗を分ける鍵となった。予選16位から追い上げたFerrari 488 GT3は抜群のピットタイミングも味方して2位でチェッカーを受け、今シーズン初となる表彰台を獲得した。ピットインのタイミングや接触など不運に見舞われたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3 は8位でチェッカーを受けるものの、レース中のペナルティにより13位に降格となって初のノーポイントのレースに終わった。



#50 Ferrari 488 GT3 都筑 晶裕 / 新田 守男

約2ヶ月ぶりの開催となったAUTOBACS SUPERGT 第4 戦「SUGO GT 300km RACE」。 22日(土)に行われた予選では、Q1を担当した新田守男のドライビングによって16位を得ることになり、Ferrari 488GT3 は28台が出走したGT300クラスの中盤の位置からのスタートとなった。


23日(日)の決勝日は、事前の天気予報通りに朝から小雨が降る状況で、ときより大粒の雨がコースをたたくこともあった。決勝レース前に予定されたウォームアップ走行のころには雨は小康状態となったが、路面はウェットコンディションから変わらず。そのためFerrari 488 GT3は、レインタイヤを履いて7周を周回し、路面状況とマシンのセットアップを確認した。ウォームアップ走行後のスタート進行時には路面も乾き始めたが、スタート直前になるとまた雨が降り出し、各チームはスターティンググリッド上で一旦履き替えたスリックタイヤからまたレインタイヤへと戻すなど、スタート直前まで天候に翻弄されることになった。Ferrari 488 GT3も、グリッドに着いてすぐにスリックタイヤに交換していたが、チームは直前の判断で作業可能時間ギリギリにレインタイヤへと戻した。


決勝レースは、予定時刻の14時30分に宮城県警のパトカー先導によるパレードランが行われ、その後に1 周のフォーメーションラップを経てローリングスタートが切られた。

Ferrari 488 GT3のスタートドライバーは、前戦までの都筑晶裕ではなく新田が担当。2周目には1つポジションを上げて15番手を走行するが、5周目に早くも1回目のセーフティーカーが入る荒れた展開となった。セーフティーカーランは5周に渡って周回を続け10周目にリスタート。マシンのセットアップはウェットコンディションにマッチしていたが、GT300クラスの中段争いを強いられているFerrari488 GT3は、先行車に押さえられてペースアップが果たせない。均衡した中段グループのバトルは30周まで続くことになる。30周を過ぎると徐々に先行車がピットインを行い、34周目には10番手までポジションを上げる。その後、38周目にGT500クラスのマシンがクラッシュしたことにより2回目のセーフティーカーが導入された。クラッシュ車両が排除され44 周目にレースが再開すると、上位陣が一斉にピットに入る。Ferrari 488 GT3もピットインを予定していたが、チームはピットレーンが混み合うことを予想してピットインのタイミングを1周遅らせる。45周目に5番手で滑り込んだピットでは、都筑にステアリングが渡されるとともに、雨があがり路面が乾きだしていたためにメカニックは素早くタイヤをスリックに付け替えてピットから送り出した。ピットアウトした周に再びセーフティーカーが入ったことにより、ピットでのタイムロスが実質的になくなる幸運に恵まれ、50周目にレースが再開すると、Ferrari 488 GT3 は4番手までポジションを上げていた。その後、上位陣がピットインしたため、レースは11号車(GAINER TANAX AMG GT3)と50号車がトップを争うマッチレースとなる。一部の路面はまだ濡れている難しいコンディションながらも都筑は果敢に攻め続け、トップを走る11号車と2 秒以内に迫る好勝負を見せた。だが、70周を過ぎると500クラスの激しいバトルに道を譲ったこともあり、トップとの差が5秒ほどに拡がるものの、Ferrari488 GT3は後続を寄せ付けず2番手のポジションをキープ。そして、77周目に2位でチェッカーを受けることになった。



2017年シーズンは開幕戦からクラッシュに見舞われるなど不運が続いたFerrari 488 GT3だったが、このSUGOラウンドではドライバーとチームが一丸となって16番手スタートから見事に2位を獲得した。この調子を維持したまま、2週間後には第5戦の「FUJI GT 300km RACE」に挑むことになる。



ドライバー/都筑 晶裕

今シーズンの初ポイントが表彰台ですごく嬉しいです。決勝レースでは今シーズン初めて後半のスティントを担当しましたが、セーフティーカーが入る寸前にピットインしてドライバーチェンジをしたため、ピットアウト後は正確な順位が分かりませんでした。セーフティーカーが抜けてしばらくしてからトップ争いをしていること知らされ、GT500クラスに抜かれるタイミングが悪く優勝した11号車(GAINERTANAX AMG GT3)を逃がしてしまったのは悔やまれますが、レースラップも安定して刻め、表彰台を勝ち取れた事に、そして難しいコンディションの中でバトンを渡してくれた新田さんはもとより、チームスタッフ及びスポンサーの方々には大変感謝しております。2週間後の富士スピードウェイラウンドに向けて更にモチベーションを上げて、これに満足せず更に上を狙っていきます。



ドライバー/新田 守男

決勝レースは、グリッドについてから雨が降り出したのでタイヤをレインに替えてセットアップも変更しました。戦略としては、レインタイヤで引っ張れるところまで走ってピットインし、そのときの状況に合わせてタイヤを変えるというものでした。そのため、序盤はタイヤを労りつつ走りました。Ferrari 488 GT3は、コーナリングスピードは速いのですが、トップスピードが伸びません。なので、ストレートで先行車に並び掛けるのですが、抜けない展開が続きました。38周目に60号車(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)と接触しそうになりスピンしたのがもったいなかったですが、自分の役割は果たせました。結果として久しぶりに表彰台に登れたので、良いレースだったと思います。


監督・エンジニア/伊藤 宗治

チームとして初表彰台を獲得できて本当に良かったと思います。予選が16位だったので、そこから2位まで上がれたことを考えると出来すぎのレースでした。決勝レースは、セーフティーカーが何回も入り荒れた展開になったのですが、ピットインのタイミングが勝負のキーポイントでした。スポーツランドSUGOは、ピットレーンが短く他のチームとピットインが重なると渋滞しやすいコースです。そのため、45周目のセーフティーカー明けにはピットに入れず、ピットインを翌周に伸ばしました。そのタイミングが抜群でした。開幕戦から運が悪かったと思うなら、今回は運が良かったと言えます。表彰台に登れたことでチームの士気も上がると思うので、これからの後半はさらに上位を目指したいです。