2022年FIA世界ラリー選手権 第13戦 FORUM8 RALLY JAPAN 2022

タレントの梅本まどか選手がコドライバーを務めるWellpine MotorsportがRALLY JAPAN 2022に参戦、ドライバーの松井悠選手をサポートし、総合27位でフィニッシュしました。

プジョー208R2には、プジョー208にメーカー推奨されている当社のQUARTZ INEO FIRST 0W-30が使用され、激しい走りをサポートしました。

 

イベント名:2022年FIA世界ラリー選手権 第13戦 FORUM8 RALLY JAPAN 2022
公式サイト:https://rally-japan.jp/
日時:2022年11月10〜13日
場所:愛知県/岐阜県
天候:DAY1 晴れ/DAY2 晴れ/DAY3 晴れ/DAY4 曇りのち雨
エントラント名:Wellpine Motorsport
車両:プジョー・208R2
チーム代表:松井悠
ドライバー:村田康介
コドライバー:梅本まどか
タイヤ:DUNLOP DIREZZA 94R(FIA公認タイヤ)
ゼッケン:46
クラス:RC4
リザルト:総合27位 RC4クラス3位

 

【DAY1】
SS1 Kuragaike Park(2.75km):赤旗

【DAY2】
SS2 Isegami’s Tunnel 1(23.29km):赤旗
SS3 Inabu Dam 1(19.38km):ステージキャンセル
SS4 Shitara Tawn R 1(22.44km):赤旗
SS5 Isegami’s Tunnel 2(23.29km):総合30番手/RC4クラス3番手
SS6 Inabu Dam 2(19.38km):総合28番手/RC4クラス3番手
SS7 Shitara Tawn R 2(22.44km):ステージキャンセル

【DAY3】
SS8 Nukata Forest 1(20.56km):総合30番手/RC4クラス3番手
SS9 Lake Mikawako 1(14.74km):総合27番手/RC4クラス3番手
SS10 Shinshiro City(7.08km):総合29番手/RC4クラス3番手
SS11 Nukata Forest 2(20.56km):総合27番手/RC4クラス3番手
SS12 Lake Mikawako 2(14.74km):総合26番手/RC4クラス3番手
SS13 Okazaki City SSS 1(1.40km):ステージキャンセル
SS14 Okazaki City SSS 2(1.40km):総合25番手/RC4クラス3番手

【DAY4】
SS15 Asahi Kougen(7.52km):総合30番手/RC4クラス3番手
SS16 Ena City 1(21.59km):総合30番手/RC4クラス3番手
SS17 Nenoue Plateau(11.60km):総合30番手/RC4クラス3番手
SS18 Ena City 1(21.59km):総合32番手/RC4クラス3番手
SS19 Asahi Kougen Power Stage(7.52km):総合29番手/RC4クラス3番手

 

弊チームにとって、2018年の梅本まどか選手加入以来の最大の目標であったWRCラリージャパンです。
2010年の北海道を最後に開催されて以来、12年ぶりにWRCが日本に戻ってきました。
舞台は大きく変わり、愛知県と岐阜県とにSSが構成されたターマックラリーに生まれ変わりました。
サービスパークは名古屋鉄道豊田市駅からも徒歩圏内となる豊田スタジアムに設置され、セレモニアルスタート&フィニッシュはスタジアム内で行うという、ギャラリーにとっては非常に観戦しやすいイベントです。

村田選手と梅本選手は11月6日(日)から豊田入りして、公式プライベートテストとして占有されている林道でテスト走行を行いました。
エンジンの高回転側の調子がよくない、エンジンが吹けない状態でしたが、足周りのセッティングや初めて履くFIA公認タイヤ「DUNLOP DIREZZA 94R」の感触などは掴めたようです。

翌11月7日(月)から3日間、クルーはレッキに向かいます。
3日間という長期間のレッキで、1日あたりに試奏するコースが少ないので時間的に余裕があり、より慎重なペースノートチェックが可能でした。
11月9日(水)には公式車検があり、ロールバーパッドの位置やシートカラーなど細かい部分を指摘されてしまいましたが、迅速な修正で無事に再車検で合格できました。


11月10日(木)は実際のSSコースを使用したシェイクダウン、そして夕方にはいよいよ競技スタートです。
シェイクダウンはSS1の逆走コースで、208R2も本番仕様の最終チェックを済ませます。
グリップのあまりない路面なので、夕方の本番SS1ではからりペースを抑えるように指示しました。
自分をはじめ、スタッフもコースに同行したのですが、平日に関わらず沿道には多くのファンが通過するラリーカーに手を振っていて、その数と熱意に驚きました。


シェイクダウンを終えて各チームは、束の間の休憩の後、豊田スタジアム内のセレモニアルスタートに向かいます。
世界選手権らしい華やかなセレモニアルスタートを過ぎた各車は、SS1へ向かいます。
辺りは暗くなっていて、各社SS1からランプポッドを装備しています。
路面のグリップも低く、視界も暗いため、クラッシュのリスクが高いコース。
我々の208R2がスタート待機している段階で、少し前の前走者が大クラッシュを起こしてしまい、レスキューや緊急車両が入るほどの状況で、結果SS1は赤旗中止となりました。
以後の参加車両はそのままサービスパークに戻りパルクフェルメに入ります。


DAY2も最初のSS2でダニエル・ソルド選手のi20N Rally1が炎上して全焼してしまったため赤旗です。
続くSS3はSS2からのタイムスケジュール遅延を理由にステージキャンセル。
さらにSS4はSSコース内に一般車両が入り込んでしまい、競技中のラリーカーと正面衝突寸前の事態にまで及んでしまい、以降赤旗となりました。
昼のサービスを挟んで、SS2のリピートステージであるSS5は、コース距離を短く再設定されてスタートされました。
距離は短縮されたものの、参加車両全車がすべて競技走行ができた、本ラリー最初のSSとなりました。
次のSS6も通常どおり走行できましたが、SS7はSS4時の一般車両侵入の原因究明および改善ができていないとしてステージキャンセル。
DAY2終了時点で、2つのSS(しかも1つは距離が短縮)しか走ることができないという、非常に不可解な状況となりました。
村田選手は「ラリーカーで観光ドライブしてきた印象」とコメントし、集中力やモチベーションを保つことが難しいようです。
依然、208R2はエンジン高回転域が吹けず、エンジニアによるセンサー類の異常の可能性が指摘されたため、夜のサービスでは一部のセンサーコネクターを外して対処しました。
燃料の噴射量が多いため、エンジン自体を破損する可能性は低いと判断して、現状のまま完走を目指すことに目標方針を切り替えて翌日からDAY3に臨みます。


DAY3は車両の一部不調を除けば、追加のトラブルもなく順調な1日でした。
SS13の岡崎河川敷コースの遅延キャンセルはあったものの、オフィシャル側のコーストラブルも少なかったので、ようやく本格的なラリージャパンがスタートした印象です。
村田選手と梅本選手両名は、現状のスピードレンジではコースオフなどのリスクも少なく、車両の状態を考慮しながらの完走ペースを上手く保っているようでした。
この日の最終ステージであるSS14は岡崎市の河川敷を使った特設コースですが、観客来場者は3万人を超え、リエゾンの沿道にも多くのファンが観戦しており、ラリー競技の人気を再認識しました。


DAY4は当日早朝時点の天気予報が曇りのち雨で、朝サービスを出発すると昼のサービスはなく、そのままラリーフィニッシュまで走り切るため、タイヤ選択が重要です。
通常のドライ路面であればフロントにM(ミディアム)、リヤにW(ウェット)を履き、スペアにMとWもしくはMのみを積みますが、今回はスペアにWを2本積みました。
SS15、SS16を走り切ったあたりから当初の予想通り雨が降ってたので、SS17スタートのTC前でフロント2本をスペアのWに履き替えます。
雨は時間とともに強まり、SS18ではハイドロプレーニングを起こしてあわやリタイアのコースオフ。
不幸中の幸いで、大きな枯れ木の多いコーナーだったので、梅本選手が後続車に「OK」のサインボードを提示している間に、村田選手がその枯れ木を車輪下に敷き詰めて無事にコース復帰を果たしました。
インカー映像にはクルーが必死にコース復帰するために動き回る様子が写っていて、特に梅本選手がWRCでも臨機応変に動ける様子を目の当たりにして5年間の成長を感じました。
そして、最終SS19を慎重に走り切って、初のラリージャパンを完走フィニッシュ。
2018年より始まった梅本まどか選手の、元アイドルWRCラリージャパン挑戦企画の目標を達成することができました。


これもすべて5年間の長期わたり、ご支援を続けてきたくださったスポンサーの皆さまのおかげです。
本当にありがとうございました。
2023年はラリージャパンを完走した経験を活かし、ラリー活動を継続しながらさらなるラリー認知の拡大やファンの獲得に努めていく予定です。
引き続きご支援よろしくお願いいたします。


<コメント:ドライバー村田康介選手>
自分にとって初のWRCは本当にタフなラリーでした。
金曜からのエンジン不調で208R2の本来のポテンシャルを発揮できなかったのは残念でしたが、チーム目標のフィニッシュポディウムに辿り着くことができて一安心しています。
マシンは初めての左ハンドル、シーケンシャルドグという組み合わせでしたが、それほど違和感なく乗れて、特にフラットや下りのコースでは、気持ちよく走り抜ける事が出来ました。
さすがラリー専用車、という感じです。
また、ブレーキやタイヤ、オイルは20キロのロングSSが続く今大会でも全くタレる事なく、とても良いパフォーマンスを発揮してくれたと思います。
今回のラリーの個人的なハイライトは日曜午後、本降りの雨の中のSS18でした。
前後タイム差から勝負をかける相手もいなかったため、それまでより更に多くのマージンをもって走っていたつもりでした。
ところが、森の中で見え辛い水溜りによってハイドロが起き、コースアウト(右二輪溝に脱輪)してしまいました。
このままリタイアかという状況でしたが、周りの木を拾い集めて前輪下に敷き詰め、なんとか脱出しラリーに復帰する事が出来ました。
完全にドライビングミスであり、たいへんご心配をおかけしました。
今回の参戦にあたりパーツや参戦資金を提供していただいたスポンサー様をはじめ、サービスの度にマシンを修復してくれたメカニック、サービステントに華を添えつつ美味しいご飯を提供して頂いたRQ、ペースノートリーディングからラリーコントロールまで完璧な仕事をしてくれたコドラ梅本選手、そしてそれらを見守っていた松井監督、全ての皆さんのお陰で無事ラリージャパンを完走できました。
本当にありがとうございました!


<コメント:コドライバー梅本まどか選手>
WRCラリージャパン完走という目標で今まで活動させて頂いてきましたが、やっと達成することができ今はホッとしいます。
初めて1週間という長い日数でのラリー、初めてプジョー208R2という車両で不安もありました。
しかし村田選手とペア3年目さらにチームとの連携もうまくいき、今までこのチームで経験を積んだからこそ完走できたと感じています。
「ラリーは準備が大切」と、ラリーを始めてから監督から何度も言われてきましたが、今回のラリージャパンはラリー前からいつも以上にチーム間のコミュニケーションを密にして臨みました。
SS1から4まではキャンセルとなり、前半はあまりSSを走れませんでした。
そういった点もチーム内では想定内で、モチベーションを保つことにも影響なく、しっかり1つ1つ落ち着いて進めることができました。
また、コドライバーシートが低いグループR車両なので前方がとても見にくい、さらに左ハンドルということもあって、これまでとは景色が全然違いましたが、個人的には凄く楽しみながらWRCに挑戦できた気がします。
SS18でハイドロプレーニング→コースアウトからの復帰するという工程を初めて体験しましたが、完走することを諦めない強い気持ちで、復帰するための対処をしっかり遂行できたのは良かったと思います。
本当に今までの経験が活きた部分が大きく、監督とラリージャパン完走という目標を掲げてから多くのスポンサー様にご支援いただき、ラリー活動を継続できたからこその初WRC完走でした。
このラリーから得たものは大きく、この経験をしっかりと整理して、これからもラリーの魅力を多くの人々に伝えられるよう頑張ります!
今まで支えて下さったスポンサーの皆様、本当ににありがとうございました。
これからも引き続きよろしくお願いいたします。