SUPERGT 第5戦富士、TOTOTA PRIUS apr GT 31号車は3位、今季初の表彰台へ


開催地:富士スピードウェイ(富士県)/4.563km
8月5日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:21,600人
8月6日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:33,500人


決勝レース(66周)8月6日(日)15:25〜


決勝レースが行われる日曜日にも上空には雲が浮かんでいたものの、土曜日は灰色だったのに対して白く変化。これならば、雨の心配はなさそうだ。ゴールデンウィークに比べれば少ないものの、それでも夏休みの真っ最中ということもあり、家族連れの観客でスタンドは満員に。子供たちが、この先も長くレースファンでいてくれることを願わずにはいられない。


20分間のウォームアップを最初に走行したのは、スタートも担当する久保選手だ。コースオープンとともにピットを離れ、4 周を走行。その間に100R でオーバーランするも、すぐにコースに復帰、直前には1分41秒101をマークする。そしてピットに戻ってドライバー交代の練習も行い、そこからは嵯峨選手が。やはり4周して最終チェックを済ますとともに、嵯峨選手は40秒983をマークしていた。


「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」がグリッドに並べられた時の気温は29度、路面温度36度は想定の範囲内。まさに上々のコンディションとなっていたことになる。フォーメイションラップの後、絶妙のダッシュを決めた久保選手ながら1コーナーまでの逆転は果たせず。だが、その進入時にブレーキロックさせてコースアウトしていた車両もあって1台をパス。オープニングラップを5番手で終えることとなった。そして3周目のコカコーラコーナーで1 台を抜き、久保選手は早々に4番手に躍り出ることに。


その後、トップのBMW だけが逃げる格好となったが、2番手争いは白熱。4台が一列に並ぶも、あえて攻めの姿勢に出ることなく久保選手は周回を重ねていった。それが何を意味していたかは、間もなく明らかになる。上位陣では最も早い22周目に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」はピットイン。タイヤ無交換として21.7秒という最小限のロスで、嵯峨選手はコースに送り出されたからだ。熱の入ったままのタイヤということもあって、アウトラップのペースも速く、約20秒を稼ぐことに成功。


トップのBMWがドライバー交代を行なってコースに戻った35周目には、嵯峨選手は事実上の2番手に立ち、その段階で3秒以上の差を徐々に詰めて、やがて背後に迫るまでとなる。が、トップのタイヤに熱が入るとペースは上がり、次第に遅れをとるようになっていた。さらにメルセデスも近づいてきて、しばらくの間、激しい攻防は続いたものの、トップのBMW にしてもFIA-GT3勢とはベースの速さが異なることから、無理は禁物と嵯峨選手は判断。41周目のレクサスコーナーでインを差してきたメルセデスに対して、あえて閉めることはせず。


これが好判断だったことは、ゴール間際に同じJAF-GTのスバルも近づいてきたことで証明される。もしBMWメルセデスに対して必死に抵抗して、自分のペースで走れなくなっていたなら、追いつかれて、極端な話、抜かれていた可能性とてなかったわけではないからだ。そのスバルは結局、3秒差までに来ていたが、嵯峨選手は難なく逃げ切りに成功。「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は3位でフィニッシュし、嵯峨選手にとっては今季初の、そして久保選手にとってはデビュー2年目で、正真正銘初めて表彰台に上がることとなった。


次回のレースは3周目に控える鈴鹿、そして伝統の1000kmとしては最後の開催となる。大量得点も可能な一戦、現在の「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のポテンシャルを持ってすれば、ミスなく走りきれたならば今回以上の成果も期待できるはず。今年いちばんのビッグレースとなることが、大いに期待される。




嵯峨宏紀選手

「今回はとにかくタイヤ温存ということで決勝は前半も後半も、タイヤをいたわる状態で走っていました。最後の方でメルセデスに追いつかれてしまいましたが、ペースがあまりにも違いすぎたので無理に閉めることなく、自分のペースでレースを続けた結果、スバルに追いつかれずに済んだので良かったです。今年からチームメイトが新しくなって、またBoPの影響も大きくて前半戦はドタバタしましたが、今回ようやく表彰台に戻ってくることができたので、今後のプリウス31号車の活躍、そして凛太郎の成長、いろんな部分で期待してもらいたいと思います。次の鈴鹿1000km にもチャンスはあると思うので、御期待ください!」


久保凛太郎選手

「去年1年間、アルナージュレーシングで走らせてもらっている時、ひたすら無交換の第1スティントやっていたので、それしかレースしたことがなかったものですから、やり方は理解していて(苦笑)。その中でブリヂストンのタイヤとプリウスというパッケージで、どう温存しようかなというのを、ずっと考えていました。公式練習やウォームアップでずっと走って、確かにタイムの落ちも少ないから、行けるだろうとは思っていましたが……。いざ決勝をスタートしたら、ちょっとやばいかもと思った部分はありましたが、嵯峨さんがしっかりとつないでくれたので、こういう結果を得ることができました。初めての表彰台で号泣するかなと思ったのですが、そんなに泣けなかったので、優勝して号泣したいと思っています」


金曽裕人監督

「作戦も含めて、予定していたことがすべてできて、今の富士でJAF-GT として3 位まで行けたのは、すごい成果だと思っています。ドライバーもよく頑張ってくれましたし、何においてもブリヂストンのタイヤが交換せずとも同じタイムを刻むことができた。確かに交換する手もありましたが、HW をたくさん積んでも速いFIA-GT3 勢との違いも含めて、簡単に抜けるような状況ではなかったので、作戦も含めてすべて理想的に進んだんじゃないかと思います。宏紀も凛太郎も、こちらからの指示どおりのことをしてくれましたし、非常にいい仕事をしてくれました。次の鈴鹿1000km では上位陣はHW が重たい状況なのでここぞとばかりに大量得点を狙いに行きます。期待していてください!」