SUPER GT 第6戦鈴鹿レポート


AUTOBACS SUPER GTシリーズ第6戦「INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」が、8月27〜28日に鈴鹿サーキットで開催された。SUGO、富士と短期間のうちにレースが続いたため、「真夏の3連戦」と呼ばれ、その締めくくりの鈴鹿は6時間近くに及ぶ長丁場とあって、最も過酷なレースとなることが多いに予想されていた。

都筑晶裕と新田守男を擁し、フェラーリ488 GT3でGT300に挑むLMcorsaは、ここまで4戦すべてで完走。開幕以来続けてきた入賞は不運なトラブルにより残念ながら前回で途絶えてしまったものの、この安定感は今回の長くて暑い過酷なレースでは強力な武器になるはずである。今回はまた第3ドライバーの登録が可能とあって、普段はアドバイザーとしてチームに帯同する脇阪薫一もドライバーとして加わることに。今季最高の成績を収めることが、大いに期待されていた。

土曜日午前の練習走行は、第4戦まで新田が最初に「JMS LMcorsa 488 GT3」のステアリングを握りチェック走行を行ってきたが、前回からは都筑が担当している。これは都筑に対する信頼が、ここまでの好走によって著しく高まっていることの何よりの表れだ。ほぼ20分間経過したところでコースアウトした車両があり赤旗中断を挟んだが、再開後も都筑は走行し続けた。その間に記した2分0秒648は、このセッションのベストタイムともなった。

続いて新田がドライブし、途中ヘアピンでのスピンはあったものの、マシンにダメージはなくそのまま周回を重ねていく。決勝を想定したセットで2分1秒690を記録したところで、2回目の赤旗が。再開後はより決勝セットを詰めるため、イン〜アウトが何度も繰り返された。ラスト10分間のGT300単独走行の時間帯から脇坂がドライブ。計測3週の短い周回ではあったが、2分2秒479を出してマシンの確認を済ませることとなった。この後に行われたサファリでも、新田はイン〜アウトを繰り返しながら、入念にセットアップを進めていた。



■予選結果 18th(2'00"563)

前回に引き続き、Q1は都筑が担当。午前の練習走行も暑かったが、予選が始まる頃には気温33度、路面温度44度と、特に路面温度は10度以上も上がっていた。そのことが果たして、どう走行に影響を及ぼすか。


アウトラップの後、1周をウォームアップに充てて、都筑はいよいよアタックを開始する。激走する「JMS LMcorsa 488 GT3」は、まず2分0秒655をマーク。引き続き都筑はコースを攻め立て0秒905に留まった。その結果19番手となり、残念ながらQ1突破は果たせず。しかし、このQ1が終わって間もなく上位の車両にペナルティが課せられ、ひとつポジションが上がったことにより「JMS LMcorsa 488 GT3」は9列目のグリッドから決勝に挑むこととなった。



■決勝結果 11th(159laps)

日曜日はそれまでの天候とは一変して、早朝から雨が降り続いていた。今回は決勝のスタート時間が比較的早いこともありフリー走行は行われず、スタート進行と共に8分間で行われるウォームアップ走行が20分間に延長となった。スタートを担当する新田が、その時間をフルに使って最終チェックを行い、すでに雨はやんでいたものの、まだウェットタイヤを履いての走行で2分12秒830をマークして、8番手につける。


問題はタイヤ選択だった。先にも述べたとおり、雨はやんでいるので間もなく路面は乾くはず。しかし、天候は不安定でいつ雨が降ってもおかしくない。攻めていくか、守っていくか。熟考の末、多くの車両と同様にドライタイヤを装着する。これが功を奏し、オープニングラップではポジションキープながら「JMS LMcorsa 488 GT3」は周回を重ねるごとに徐々に順位を上げていく。しかしそれもつかの間、いったんレースが落ち着くと今度は先行車両に行く手を阻まれ続け、ポジションがまったく上げられなくなってしまう。


そこで予定を少しだけ早めて17周目に新田から脇坂に交代。一旦順位は落ちたが、前が空いたことで次第に挽回していき、9番手まで上がった54周目に都筑に代わることとなった。前後に車両がいない状態は都筑にタイムをコンスタントに刻ませ、77周目からは再び新田がドライブ。ひとつ不運だったのは、それから間もなくレースが折り返しを迎えようという時に第2コーナーで激しいクラッシュが起こったことだ。セーフティカーとの位置関係が悪く、トップからほぼ周回遅れとなってしまう。


108周目からは再び脇阪が担当。この時点での順位は11番手。入賞圏内が見えてきたものの、今度は降ったりやんだりする雨が脇阪の行く手を阻む。142周まで走行を続け、そこからゴールまでは都筑が担当することとなった。この時点でひとつ順位を落とすも、間もなく一台のリタイアがあって11番手に都筑は浮上する。しかしゴール間際には強い雨が降り出し、一気にペースダウンを強いられることに……。


その結果、またしても「JMS LMcorsa 488 GT3」は11位でのフィニッシュとなり、入賞をあと一歩のところで逃すことになった。しかし、この長いレースを走りぬいたことで大量のデータが蓄積された。これは次回のタイ・チャーンサーキットでの第7戦に必ず活かされるはずである。


■チーム監督 小林 敬一

もうちょっと行けるはずだったんですが、なんか……。いろいろ流れが悪くてどうにも思うような展開にはできませんでした。特に何か、というのはなかっただけにかなり残念です。期待に添えられず申し訳ありません。ただ、次のタイにはすごく期待しています。クルマのバランの良さはあのコースにはきっとマッチしているでしょうし、あとは流れをつかむだけ。ターボエンジンですから暑さだけが心配ですが、それさえ問題なければきっと上位に行けるでしょう。我々スタッフも過去の反省点をしっかり振り返って次に活かせるようにすれば、期待どおりの結果を出せると思います。


■ドライバー 都築 晶裕

土曜日の公式練習からソフトタイヤが思った以上にグリップ感がなく、すぐにグリップダウンしてしまいました。予選ではタイム狙いというより決勝狙いのタイヤ選択で行ったのですが、Q1を通るか通らないか微妙なところであと一歩及ばず残念でした。あの暑さの中、ターボ車なので熱ダレがすごくあって、そういうところが影響していたのかもしれません。決勝はブレーキに問題があったのと、グリップが練習走行時より不足した感があり、自分でも全く納得いく走りが出来ませんでした。ポイント圏内にももう一歩と、本当に悔しい結果です。課題はいくつかあったレースなので、きちんんと解消して残りのレースでは頑張りたいと思います。


■ドライバー 新田 守男

僕らの今のパフォーマンスであれば、もう少し上の順位を獲れたんじゃないかな、というレースになってしまいました。天候変化に惑わされたわけでもなく、流れだって悪くなかったんですが……。ただ、タイヤのバイブレーションがひどくて、ブレーキも厳しい状態でレースすることとなったので、そのあたりが大きく影響しているのかもしれませんね。次のタイも、僕らのフェラーリはストレートがあんまり速くないのでまた厳しいかもしれませんが、暑いレースになるのは間違いないので淡々と行きたい。クルマとしては決して悪い状態ではないので、なんとか表彰台に上がれるようなレースにできたらいいな、と思っています。


■ドライバー 脇阪 薫一

がっかり……です。別にこうしたらよかったとか反省点がなかったので、よけいにがっかりしているんです。追い上げられると思っていたんですけどねぇ。勝てるほどのハイペースではなかったけど、僕らに大きなミスがあったわけでもなく、ビット作業でロスがあったわけでもないし、500のクルマと交錯したわけでもなかったし。まぁ、確かにちょっと不具合抱えていましたが、1000kmもの長丁場だったら何かしら起こるものですから。


■エンジニア 成澤 健二

テストの時とはフィーリングが変わっていて、うまく合わせ込みができませんでした。同じタイヤでもテストとはフィーリングが違っていて、予選でちょっと沈んでしまってから、流れをうまく取り戻せなかったような気がします。ただ、距離はいっぱい走れましたし、データも取れましたから、それをまた次に向けて検証したいと思います。まわりがけっこう速くなってきているし、トラブルも出なくなっているので、我々としてももう少し速さを追求していくつもりです。